パレード見学(微妙に参加)

さて。土曜日はパレードでした。
何だかどうしようかとかなり直前まで悩んだものの、[ ]知人のバイセクシュアルインターナショナルカップルも見学(微妙に参加)に出かけるというので、どっぷり落ち込んだパートナーをひとり残して出かける罪悪感もなくてすむことだしと、御一緒させていただくことに。
で、代々木までえっちらおっちらと出かけてきたのですが、これは主催者側の問題だけではなくておそらく警察とかそういう問題もあるのだろうけれども、パレード、やたらと参加しにくい。なんというか、来るなといわんばかりの参加しにくさ。
諸所で指摘されている方もいるようだけれども、そもそもなぜ名称が「レズビアンゲイパレード」のままなのかしら。主催者の方に決定権があるから文句があるなら自分でやれというのは究極的にはその通りなので、へたれのわたくしには強くは主張できないのだけれど、やっぱり、ねえ?一応日本の首都で行われる唯一(ですよね?)のプライドなわけだし、「プライド」でも「レインボー」でも良いけれども、名称は他につけられなかったのだろうか。微妙に疎外されている感がなくもありません。「レズビアン&ゲイ」がマジョリティだとは思うし、「レズビアン&ゲイをサポートする人たち」も参加可能ということは明記してあるけれども、じゃ、バイは?ストレートのトランスは?アセクは?などなど。どうして、今、東京で、映画祭もパレードもすべて「レズビアン&ゲイ」の名称を固持しているのだろうかと、知人カップルとも不思議がりあいつつ、でもとりあえず「&バイセクシュアル etc.」を脳内補完しつつ、出かけたわけなのですが。
もう一つは、これは完全に「当局」側の問題なのだろうけれど、あの人数規制はやっぱりつらい。パレード開始が15時で、14時までには登録をして、駄目なら登録取り消しをして、それ以外の人は一緒に歩いちゃいけないことになっている。なんかこう、たまたま見かけた人が「一緒に歩こう!」とか、そういう雰囲気になるとすてきだと思うのだけれども、これって東京という土地柄なのでしょうか。とりあえず出かけると決めた時点でわたくしとしては一緒に歩きたい気分はあったのだけれども、[ ]。途中少しだけ加わって歩く、くらいのことができると、とても嬉しいのに。あ、勿論、当局もパレード主催者も無視してアナーキーにという方向は常にあるのでしょうけれども、「アナーキー」と聞いただけでどきどきしてパニックを起こしそうなPには、それもとても無理です。同じく、パレードのルート(あるいはその予定図)をサイトで見つけられなかったのだけれども、次回からはこれをサイトに載せていただけると、わたくし達のような「人ごみ無理かも。サポートはしたいけど」な人間には、ちょっと嬉しい。
さらに、これまた主催者云々より東京という街の問題なのかもしれないのだけれども、駅から集合場所までとか、案内が殆どないのですよね。もう少し親切にレインボーフラッグを辿っていけば集合場所に着きます!とか、そういう感じだと、雰囲気も盛り上がって良いのに。なんとなく、街のサポートがないのだなあという感じがじんじんと伝わってきて、これはちょっと悲しい。まあ東京ですからね!扶桑社教科書採択しちゃう区のあるまちですから!それよりなにより、トップにああいう人をえらぶまちですからね(号泣)!無理を承知で言ってしまうと、夢としては(夢ですよ、夢)、原宿の駅を出たあたりから代々木公園集合場所まで、明治神宮前をず〜っとレインボーフラッグが連なる、という光景が見られたら、ちょっと泣けてしまうかも。泣かないけど。それは無理としても、渋谷側、パレードの通るあたりのお店も、フラッグを出したり、サポートメッセージを出したり、とにかく何か「今週末こういうことがあって、私たちはサポートしてますよ」アピールは一切していなかったような気がする。渋谷は人が多すぎてPには鬼門なので、パレードにずっと付いていったわけでもないし公園から下まで降りたわけでもないので、坂の上から見えた限りの話だけれども。パルコ系とか一応「若者文化」ターゲットでやってきたのではなかったのかしら(それは15年以上前の話?)。だとすると、良し悪しはともかく、「ゲイフレンドリー」の持つ「オルタナ風味」はプラスにはならないのだろうか。商業主義の問題云々以前に、日本では「ゲイフレンドリー」をアピールするプラスより、「ホモかよ」と思われるマイナスの方が、商業的に大きいということなのかしら。
などなど例によって愚痴たらたらではあるものの、実際にその場に到着すれば、やはり参加する人々の楽しそうな雰囲気でこちらもわくわくする。サイトでは「ケツは出すな。オンナはムネはさらすな」などと色々とドレス・コードもあったりして、これはいったいどのようなことになるのやらと驚愕したものの、行ってみれば皆様普通にドラァグだったり平服だったりコスプレだったりと好き放題していらして、良い感じ。しかも場所柄というのか何と言うのか、パレードと全然関係がないのに同じくらい「異様な(良い意味でですよん)」風体の方もそれなりの数いらしたりして、そのあたりも良い感じ。わたくしはおそらく「女性」と思われる方のドラァグ・クィーンぶりが結構好きでした。全体に、あの湿度の中完全ドラァグで全身包んでいらした方々の「やる気」には、心から敬意を表したいと思いますが。ただ、あれだなあ、「オトコ」はムネをさらしても良いが「オンナ」は本人が好きでやっていることだってもムネをさらすなというのは、やはりどうよ?「女性のへそ出し」を「迷惑条例」で取り締まろうと一瞬と言えども本気で検討している人がいたらしい東京都でプライドをやろうという主催者さん側も、つらいところだとは思うけれど。
で、わたくしたちは、パレードの出発点のすぐ近くに陣取って見物&拍手に専念することに。
これがとても楽しくって、同じ時に同じ場所でスカパーが主催する「渋谷にビーチを」だか何だかの催しがあって、その入り口を示す大きなアーチが代々木公園への入り口のところに出来ていた。でもって、パレートはこのアーチを完全にのっとる形で、その下から堂々の出発。スカパー共催なのか?!という雰囲気(それとも本当に共催だったのかしら?サイトのスポンサー欄には載ってないけど)。これは良いでしょう。使えるモノは使う。
肝心のパレードのフロートそれ自体や掲げられたメッセージも、見ているだけでわくわくするものがたくさんあって、やっぱり来てよかったなあと、時折かたわらのPのことを忘れつつ声援を送る。以下ちびちび感想。

  • 出だしのフロートに「無性欲無問題」というボードを地味目に掲げていた人たちがいたのだけれども、アセクの人たちだったのだろうか。心の底から応援。無性欲無問題だわ。うん。
  • ボードでは余り目に付かなかったけれども、こちらは集合地点のメッセージボードのところに、いくつか「バイセクシュアル」アピールがあって、これまた心の底から応援。わたくしは自認としてはバイセクシュアルではありませんし、傍目にも「外見オトコとモノガマスな関係を持っている外見オンナ」なのでおおよそバイセクシュアルな雰囲気ではないのですけれども、このパレードでは連帯感。
  • 今回のパレードで目に付いたことなのか、札幌や他の地域でも似たような状態なのか、わたくしにはわからないのだけれども、「女性」(見た目がってことです)は中高年の方がちらちらといらっしゃるのに対して、50代以上くらいの男性を余り見かけかったような気がする。なぜだろう。現在中高年の世代では男性の方が色々と縛りがきついということだろうか(会社の人に出会うとモノスゴク危険、とか)。男性だけがやたらと若く見えるということでもないような気がするけれども。わたくしは年上の女性が何人も参加していらっしゃるのを見て、とても嬉しかった。
  • 一見「外国人」(見た目的に「非・日本人」ということです)の割合が、「一般社会」と比べて少し多いような気がする。これも「気がする」だけで何の具体的な数値もないから、正確ではないかもしれないけれども。で、不思議だったのは、少なくとも私にチェックできた限りでは、「外国人」の人でいわゆる一般的なメッセージ(「私は同性愛者です」といった類のもの)を掲げている人はいるものの、滞在権にかかわる主張をしている人がいなかったこと。同性愛婚をかかげているメッセージは見つけられたので、それがそこにかかわるといえばかかわるだろうか。でもそれ以外で、「日本で恋人と暮らす権利」の主張というのは、あったのかしら。わたくしには[ ]それが気になって仕方なかったり。セクシュアリティとは直接関係ないような要求なので自粛していたのか、それとも皆様心身ともに健やかで(そして10年とかして永住ビザがおりるまで健やかであり続けられるという自信があって)普通に労働のためのビザをもらって問題なく生きていけるのか、すでに永住権をとってしまった幸運な方ばかりなのか、それともそもそも長期滞在のつもりはない方たちばかりなのか(<そんなわけはあるまい)。そんなこと主張しても通るわけないから主張しない、というのが一番ありそうかしら。[ ]その時はそれをかかげて歩きたいものです。
  • フロートとフロートの間、少し時間があいて、普通の車両が通ったりする。何だかパレードがぶちきられるようで盛り上がりを止めてしまうという側面もあるのだけれども、フロートとフロートにはさまれた(しかも渋滞)一般車両の人たちの表情が、これはこれで申し訳ないのだけれども面白い。「あれなに〜?何の集まり〜?」と興味津々で見ていたのが、気がつくと沿道のサポート群集にがっちり見られる立場になっているのも面白いし、何より、もうすっかりわくわくしてしまっている人だの、にこにこしてこちらを眺める人だの、あやしい人たちと目を合わせるまいとがっちり視線を前方に固定して身じろぎもしない人だの。あ、視線固定系の人を笑うつもりはないです、わたくしは(ちょっとそれっぽい感想も見聞きしたので、一応)。気持ちはよく分かるもの。だって、とにかく街にも沿道にも「何が行われているのか」というアピールが殆どない状態でいきなり巻き込まれた人にとったら(これは沿道でサポート観客だったわたくしたちにも責任はあるのかも。沿道に立ってるだけだって、何かちゃんとメッセージをかかげるとかするべきでした)、わけはわからないけれどもびっちり沿道に立ってわいわい騒いでいる怪しい人たちっていうだけのことだし。怖くもなるだろうと思います、ええ。
  • それよりおかしかったのは、そういう「一般車両」の中に、ヒラリー・ダフのアルバムだか何だかのプロモーション車両と、アリタリア航空のプロモーション車両とが混じりこんできてしまっていたことで、こういうのって音楽流したりしてもともと明らかに「普通の乗用車/公共交通機関」とは違う車両なので、ほとんどパレードの車両と見間違えそう。全然クィアではないものが、コンテクストをちょっとかえるとクィアに取り込まれたように「見えて」しまう、という例を、妙にパワフルに見せ付けられた感じ。
  • 途中数人知り合いの方にもお目にかかって手を振ったりしてみましたが、帰宅してふらふらネットをめぐっていたら、他にも知人が参加していらしたようで、あ〜見つけられなかったな〜、残念、と。ウォーリー君じゃないんだから探してどうするのと一人で思っているわたくしの感性が古すぎて、自分でちょっと嫌。

とりあえず、行けて良かったと思います。一緒に歩けなかったのは残念だったけれども、ああやってわさわさと集まって楽しそうにしているのは、それは良いなあ。それなりに色々な方がいらしてそれなりに「多様性」が見える感じであったのも、開放感がありました。あとは、名称変更と、もう少しアクセスしやすい体制を、お願いします(笑)。そのうち、東京か、東京が人が多すぎて駄目そうだったら他のどこかで、[ ]歩いてみたいものです。