The D Word

映画祭、今回はThe D Word(ガールズ短編集)を見る。
表題作(っていうのかしら)『The D Word』、それなりに面白いとは思うのだけれども、かなりまんま『The L Word』のパロディ。あれ、もとのドラマを知らない人にとって、どの程度面白いのだろうかと、ちょっと疑問です。
もともとの『The L Word』は、イギリス発のQueer As Folkのヒットを受けてつくられたアメリカ版Queer As Folkがヒットして、またまたそれを受けてじゃあレズビアンバージョンも作れそう!みたいな感じでつくられたドラマ・シリーズ(らしい)。でもって、このドラマ、賛否両論あるらしくて、レズビアンというのを前面に打ち出してつくられたシリーズという点では画期的なのだけれども、描かれているレズビアンがそろいもそろって(メインストリームへテロ基準で)「綺麗どころ」ばかりだったりとか、仕事も順調、恋愛も波乱万丈、みたいな感じだったりとかで、要するに「本当のダイクは出てこないじゃないか!」という批判もかなりあった模様(まあ、それを言ったらたとえばSex and the Cityに出てくる女性が「本当のヘテロ女性」、少なくとも平均的なヘテロアメリカ人女性かといったら、それはかなり違うだろうけれども、まあここら辺は表象/代表の量の問題が絡んでくるので、難しいところだとは思う)。あと、何故かファーストシリーズのメインのストーリーラインが、ヘテロカップル(この女性の方がレズビアン女性と恋に落ちるのだけれど)を中心にしたものだったり、とか。
とにかく、そういう批判があったことを念頭において「じゃあ本当のダイクバージョンだぜ!」という完全なジョークというかパロディとしてつくられているのが『The D Word』という短編だと思うし、実際にストーリー展開とかキャラクター設定とか、基本的にはL Wordの方との落差を楽しんでね、という設定だった。その意味で、元ネタが放映されていない状態での上映っていうのは、ちょっと厳しかったのではないだろうか。この短編集の後でイベントとしてThe L Wordのパイロットエピソード(だったと思う)の上映会があったようで、それは企画としてはとても素晴らしいと思うのだけれども、そういう意味では、元ネタ上映会を先にやってから短編集上映というようなタイムテーブルが組めれば、もっと良かったのではないかしら。
同時上映の他3編。『F*stop』は、率直に言ってつまらなかった。何で上映されたのかしら。良くわからないわ〜。『Crush』はテーマとしては面白いのだけれども、短編ではちょっと捕らえ切れていない気がする。私は癌というテーマにちょっと個人的に感応してしまったけれども、そういうのがないと、どうなのかなあ。『The Ten Rules』はそこそこ面白いというか、普通にテレビの小作品とかインディ短編とか、そういうレベルで楽しめるとは思う。
ただ、今回のガールズ短編は、どれも短編映画としてはちょっと物足りない感じ。金曜日の『胡蝶』がとても面白かっただけに、少し残念です。