仕方のないこととはいえ

昨日は朝から雪。今朝も何だか道路に残った雪が凍り付いているようで、雪というものに不慣れなわたくしは出勤時が今から恐怖。
今週末はセンター試験。受験生の皆さんも勿論大変だろうけれど、監督業務につく教員や大学職員にとってもセンター試験というのは疲労困憊する業務のような気がする。全国一斉試験ということで、多少なりとも不公平があってはいけないとかで、一挙手一投足、言って良いこといけないこと、板書して良いこといけないこと、そのタイミングなど、ものすごく厳密に決まっていて、「常識的にこのくらいは」という判断が許されないスーパーマニュアル仕事なので、過剰にストレスがかかる。万が一そこで「不平等」があると受験生に気の毒だし、大学としては「あの大学ではミスがあった」といわれるのだけは避けなければ!というプレッシャーもあるようだし。
まあ、それ自体は仕方ないことであきらめているけれども、それにしてもなあ、と思うことも、結構あったりする。
たとえば、昨日こんなことがあった。センター試験で使用する鉛筆というのは「和歌、格言などが書いてあってはいけない」ということになっている。で、確かに受験者に配られる要綱をちゃんと全部読めばそう書いてあるのだけれども、「使用する筆記用具」のところには「B,HB,Fの鉛筆」みたいなことしか書いていなくて、和歌云々というのは別のところに表記されていたと思う。
このために、いわゆる「お守り鉛筆」というのだろうか、神社だかお寺だかで売られている学業成就系の鉛筆を持ってきちゃう受験生が結構いるのだけれど、厳密に言うと使用できないものが多いのだ。すべての会場で受験者の鉛筆のすべてを一本一本チェックしているとも思えないから、実際にはつかっちゃっている受験生もいるだろうけれども、少なくとも監督者が気がついちゃった時点で、その鉛筆は使用禁止ということになる、らしい。なんかかえって不公平な気もするけど。
わたくしの世代というのは今よりももうちょっと「受験戦争」の激しい時代だったせいか、わたくし自身は、そもそもそういうところで規則にひっかかりそうな鉛筆を持ってきている時点で「あんたは負け」という空気の中で育ってきているのだけれども、それにしても、たとえば「学業成就」とか「千里の道も一歩から」とか(なんてものが書いてあるかどうか知らないけど)、あるいは地元神社が探してきたよく分からないお説教和歌みたいなのとか、その程度のもので不公平が生じるかどうか、実際微妙だよなあと思う。
で、本人なりあるいは多分親とか兄弟とか友人なりが「がんばってね」という応援の気持ちでわざわざこの日のために買ってきたのだろう真新しい鉛筆をきれいに削って机に並べている受験生に、「あ、これは格言があるから駄目ね」と言うのって、わたくしとしてはとても、いや。全国一斉試験の公平さという観点からどうしようもないのかもしれないけれども、そこであっさり否定されてしまう「応援の気持ち」を考えると、悲しくなる。
ということで、センター入試本部、そこどうにかなりませんかねえ。あるいは、「受験用学業成就鉛筆」で稼いでいらっしゃる神社仏閣の皆さん、寺社の固有名詞は別にかまわないようですので、それ以外の言葉を入れない鉛筆っていうの、考えてみませんか。
さてさて、わたくしはこれからまた出勤です。同業者のみなさま、がんばりましょう<って今日この時間にブログなんて読んでる同業者はいないかも。